後立山(長野/富山) 蓮華岳(2798.7m)、針ノ木岳(2820.7m) 2024年7月6日  カウント:画像読み出し不能

所要時間  2:12 扇沢市営第一駐車場−−2:17 登山口−−2:29 林道入口−−2:45 林道終点−−2:47 堰堤(梯子で越える)−−2:51 篭川にかかる橋(標高1620m付近)−−3:04 大沢小屋(休業中)−−3:27 河原(標高1820m付近)−−3:32 雪渓に乗る(標高1840m付近。雨具着用) 3:43−−4:47 夏道に乗る(標高2280m付近) 4:50−−5:23 針ノ木峠−−6:21 蓮華岳 6:28−−7:08 針ノ木峠−−7:54 針ノ木岳 8:20−−8:53 針ノ木峠−−9:12 雪渓に乗る(標高2220m付近) 9:16−−9:30 夏道(標高1840m付近)−−9:35 河原を離れる(標高1820m付近)−−9:52 大沢小屋−−9:58 篭川にかかる橋−−10:06 堰堤(梯子で下る)−−10:07 林道終点−−10:19 舗装された車道−−10:22 水浴び 10:29−−10:34 登山口−−10:37 扇沢市営第一駐車場

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2024年7月6日(土) 日帰り
天候曇一時雨後曇。標高2700m以上はずっとガス。西寄りの風強し
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場扇沢駅直下の有料駐車場より下に市営無料駐車場あり。ただしハイシーズンには早朝に満車になるので注意
登山道の有無あり
籔の有無大沢小屋付近で笹のはみ出しあり。笹が濡れている時は雨具必携
危険個所の有無針ノ木峠〜針ノ木岳間の標高2730m付近の20mくらいの短距離のみ固く締まった急な残雪がありアイゼンとピッケルが役立った。ただし、下山時に小屋のスタッフが鍬等を持って上がっていったので、おそらく雪切されて安全に通過できるようになったと思われる
山頂の展望晴れれば大展望
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コメント良くない天気予報だったが針ノ木岳を目指すことに。一時的ながら久しぶりに本降りの雨に降られてゴアを着ての行動となり、稜線ではずっとガスの中で展望は無かった。大沢小屋荷上げ道の篭川に架かる橋は既にかかっていて大助かりだった。針ノ木雪渓は夏場に最下流の橋がかかる場所から蓮華沢出合まで雪の上を歩き、これより上部は峠まで夏道が出ていてアイゼン不要だった。ただし針ノ木峠〜針ノ木岳間で20mほどの短距離のみピッケル、アイゼンが必要な急で固く締まった雪があったが、下山時に針ノ木小屋のスタッフが作業具を持って上がっていったので、おそらく今は雪切されて安全に通過できるようになったと思う。雪切しなくても来週には雪はほぼ消えてしまうだろう。高山植物の開花はピークに近く、蓮華岳方面のコマクサは満開だった。針ノ木岳ではシロウマオウギを見ることができてびっくり!


2754m東側平坦地のコマクサ群落。密度は低いが広範囲に分布し、コマクサの総数は1000を越えるのでは? 今がちょうど見頃だった

見かけた花と開花状況

花の種類

場所 

開花状況 

クサノオウ 駐車場付近  終わりに近い 
ベニバナイチヤクソウ  林道  花盛り 
ミヤマタネツケバナ  林道〜大沢小屋荷上げ道 終わりに近い  
ミヤマカラマツ  林道〜針ノ木雪渓下部  咲き始め 
ズダヤクシュ  大沢小屋荷上げ道〜大沢小屋付近  ほぼ終わり 
ノビネチドリ?  大沢小屋荷上げ道  咲き始め 
ツマトリソウ  大沢小屋荷上げ道、稜線  花盛り 
マイヅルソウ  大沢小屋荷上げ道、稜線  荷上げ道では花盛り、稜線では咲き始め
ミヤマキンポウゲ  大沢小屋荷上げ道、針ノ木雪渓下部  花盛り 
キジムシロ  大沢小屋荷上げ道  ほぼ終わり 
タニウツギ  大沢小屋荷上げ道〜針ノ木雪渓下部  終わりに近い 
オトギリソウ  大沢小屋荷上げ道 1株しか花を見ていないので不明 
カラマツソウ  大沢小屋荷上げ道、針ノ木雪渓下部  咲き始め 
オオバミゾホオズキ  林道〜針ノ木雪渓下部  花盛り 
ミズキ  針ノ木雪渓下部  花盛り  
ミヤマニガイチゴ?  針ノ木雪渓下部   1株しか花を見ていないので不明 
オオバギボウシ  針ノ木雪渓下部   咲き始め 
ニッコウキスゲ  針ノ木雪渓下部   花盛り 
オオコメバツツジ  針ノ木雪渓下部  咲き始め〜花盛り 
ニガナ  針ノ木雪渓下部  咲き始め 
シロバナニガナ  針ノ木雪渓下部  咲き始め 
タテヤマウツボグサ  針ノ木雪渓下部 咲き始め
ミヤマダイコンソウ  針ノ木雪渓下部、稜線  花盛り 
ツガザクラ  針ノ木雪渓下部、稜線   花盛り〜終わりに近い
コメバツガザクラ  針ノ木峠付近  花盛り
ショウジョウバカマ  針ノ木雪渓上部〜稜線  花盛り 
チングルマ  針ノ木雪渓上部〜稜線   咲き始め〜終わりまで場所によって開花状況が異なる 
アオノツガザクラ  針ノ木雪渓上部〜稜線   咲き始め 
コイワカガミ  針ノ木雪渓上部〜稜線  花盛り
ナナカマド 針ノ木雪渓上部〜稜線  咲き始め〜花盛り 
ハクサンシャクナゲ  稜線 咲き始め 
オオヒョウタンボク  針ノ木峠付近稜線  花盛り 
ゴゼンタチバナ  稜線 花盛り
ベニバナイチゴ  稜線 咲き始め〜花盛り
コケモモ  稜線 花盛り
イワツメクサ  稜線 咲き始め〜花盛り
クモマスミレ  稜線 咲き始め〜花盛り
コマクサ  蓮華岳側の稜線  花盛り
ミツバオウレン  稜線 花盛り
バイカオウレン  稜線 花盛り
ミネズオウ  蓮華岳側の稜線  ほぼ終わり
タカネヤハズハハコ  稜線 咲き始め
ミヤマキンバイ  稜線 花盛り〜終わりに近い
キバナシャクナゲ  稜線 花盛り 
イワベンケイ 稜線 終わりに近い 
タカネイワクサ  蓮華岳付近 咲き始め
ウメハタザオ  蓮華岳付近 ほぼ終わりで咲き残りのみ
クロマメノキ  稜線 数が少なく不明 
ヒメイチゲ  稜線 1株しか花を見ていないので不明 
ヒメクワガタ 稜線 1株しか花を見ていないので不明 
シナノキンバイ  稜線 咲き始め〜花盛り
ミヤマクワガタ  針ノ木岳付近 咲き始め
ミネウスユキソウ 針ノ木岳付近 葉っぱが出ているだけ 
イワオウギ  針ノ木岳付近 咲き始め
ミヤマオダマキ  針ノ木岳付近 花盛り
イワウメ  針ノ木岳付近 花盛り
シコタンソウ  針ノ木岳付近 咲き始め
ミヤマシオガマ  針ノ木岳付近 数が少ないが花盛り
ハクサンイチゲ  針ノ木岳付近 1株だけ花が咲いていた
ミヤマアマナ  針ノ木岳付近 終わりに近い 
シロウマオウギ 針ノ木岳付近 1、2株だけ花が咲いていた


夜中2時過ぎに第一駐車場を出発 登山口
林道に入る 林道終点
堰堤の梯子(サイズの都合で横向きだが実際は縦) 篭川に架かる橋。水滴は雨ではなく激流のしぶき
橋を渡って長靴をデポ 大沢小屋。今年の営業は無い
3週間前は無かった梯子 標高1800m付近で篭川河原に出る
標高1840m付近で雪渓に乗る。ここで雨が降ってきた 雪渓の要所には目印が立っていた
マヤクボ沢出合。往路は針ノ木峠に向かったが、マヤクボ沢は既に雪が途切れていて利用不可だった
標高2240m付近。まだ雪があるのでそのまま登った 標高2280m付近。ここで夏道に乗った
標高2290m付近。この先はアイゼン不要 爺ヶ岳も雲に入っていた
標高2320m付近 ショウジョウバカマはあちこちで花盛り
標高2400m付近。雪切されていた 標高2410m付近
アオノツガザクラ 標高2450m付近でガスに突入
チングルマ コイワカガミ
ナナカマド 標高2490m付近
コメバツガザクラ 針ノ木峠直下
針ノ木峠 針ノ木小屋。今年の営業は始まっている
まずは蓮華岳へ向かう。アイゼン等はデポ オオヒョウタンボク
ミヤマダイコンソウは花盛り ハクサンシャクナゲ
ゴゼンタチバナ マイヅルソウ
ベニバナイチゴ コケモモは花盛り
標高2680m付近。風が強いが予想以下で行動に問題なし イワツメクサ
クモマスミレ コマクサ
ミツバオウレン ミネズオウはほぼ咲き終わり
タカネヤハズハハコ ミヤマキンバイ
大沢を見下ろす。もう雪はほとんど無い キバナシャクナゲ
ツガザクラ イワベンケイ
タカネツメクサ 蓮華岳西の肩
蓮華岳東の肩(山頂) 三角点と東尾根
ウメハタザオの唯一の咲き残り 2754m峰〜2750m峰間はコマクサの大群落
クロマメノキ 針ノ木峠を見下ろす。往路より雲が高くなった
デポした荷物を回収 峠から雪渓を見下ろすが人の姿は無い
ツマトリソウ バイカオウレン
テント場の雪は消えていた アオノツガザクラ
標高2640m付近 シナノキンバイ
標高2640m付近からトラバース開始だが雪無し おそらくヒメクワガタ
標高2730m付近で固く締まった残雪登場。アイゼン着用 20m程で残雪を抜ける。これ以降は雪無し
アイゼン、ピッケルをデポ ミヤマクワガタ
ミネウスユキソウ クモマスミレ
イワオウギ。まだごく初期の咲き始め 針ノ木岳山頂はガスの中
ミヤマキンバイ イワウメ
シコタンソウ ミヤマシオガマ
ハクサンイチゲは1株だけ見かけた チシマアマナは終わりかけ
ミヤマオダマキ まさかのシロウマオウギ発見!
スバリ岳方面もガスの中 山頂直下のマイヅルソウはまだ蕾だった
残雪の上端を迂回すればアイゼン無しで行けそうだった ヒメイチゲ
マヤクボ沢の雪は途切れていた 雲の底が高くなって標高2700m付近
爺ヶ岳は雲の外に出た 南側の展望。そのうちに大天井岳も雲から出た
針ノ木小屋のスタッフ。おそらく雪切に上がったのだろう 針ノ木峠を見下ろす
針ノ木峠から針ノ木雪渓を見下ろす。まだ人の姿が無い 標高2480m付近
標高2300m付近 標高2280m付近
標高2220m付近 蓮華沢は流れが出ていた
標高2220m付近で雪渓に乗る 最初にすれ違った2人パーティー×2組
標高2070m付近 左岸岩場上部に咲いていたミヤマダイコンソウ
標高1920m付近から上流を見上げる 標高1870m付近
標高1840m付近で夏道に乗る 最下流の橋の材料。2週間後くらいにはかかっていると思う
最下流の橋がかかる場所への入口 標高1800m付近で左岸高巻きの夏道に入る
ニガナ シロバナニガナ
タテヤマウツボグサ オオコメツツジ
ニッコウキスゲ オオバギボウシは咲き始め
ミヤマニガイチゴっぽい ミヤマカラマツ
カラマツソウ ミズキ
大沢小屋 登山道は藪が刈り払われていた
荷上げ道はまだ濡れた笹がはみ出す オオバミゾホオズキ
オトギリソウ 一応、軽く刈り払いされていた
篭川にかかる橋 ミヤマキンバイかと思ったがキジムシロだった
ミヤマキンポウゲの群落 マイヅルソウ
ツマトリソウ まだ蕾だがどうもノビネチドリっぽい
ズダヤクシュ まだ稜線は雲の中
堰堤の2連梯子 林道終点
ミヤマタネツケバナ ミヤマカラマツ
林道のぬかるんだ箇所。う回路あり ベニバナイチゴは花盛りだった
今年は草のはみ出しが多い 林道入口。隣は樹林を伐採して工事中
登山道に新たにできた沢 いつもの水浴び場
扇沢有料駐車場 クサノオウ。駐車場付近でのみ見かけた
第一駐車場到着。まだまだ空きがあってびっくり


 今週末の天気予報は先週末と同じ推移を辿り、金曜朝までの予報では土曜日お昼前までは富山県境の北アルプスを中心に県西部で雨で、お昼くらいから急激に天候が回復するとのこと。これなら山は日曜日にするかと判断に迷っていたところ、金曜夕方の予報では雨が止むのが日付が変わる頃に前倒しになり、複数の予報を確認してもほぼ同様。これならいつもの土曜に早朝登山できそうだ。

 ただし標高3000mの風速が17m/s前後とかなりの強風予報。予想天気図を見ると太平洋高気圧の縁を回り込むように南西の風で、等圧線の間隔は広くはないがそれほど狭くもなく、ここまで強風にならないかもしれないと予想。でも長時間風に吹かれていたいような風速ではないのは確実であり、西風が避けられるコースとして三股から蝶ヶ岳と扇沢から針ノ木岳が候補に挙がった。今は高山植物の季節なので、花がより多い針ノ木岳に決定だ。風の強さによっては蓮華岳を追加しても良い。針ノ木峠〜蓮華岳間の稜線は西風がモロに吹き付ける場所があり、強風の場合は行動困難である。2754m峰への登りが最も風が強い場所であり、ここでダメだと感じたら引き返せばいいだろう。

 南西の湿った風が入るので稜線ではガスって何も見えない可能性が結構高いと予想したが、「てんくら」の星空予報や見晴らし予報では良好とのこと。これが当たってくれればラッキーだが、今回は花が主目的なので雨さえ降らなければ文句はない。

 私が針ノ木岳に登る際は大沢小屋荷上げ道(仮称)を利用するのだが、今の時期の最大の問題は篭川にかかる橋が設置されているかどうかである。雪渓が溶けきる夏場以降なら橋が無くても簡単に渡渉できる水量に減っているのだが、今の雪解けの時期では沢が増水して渡渉が難しい。3週間前の下山時にはまだ橋はかかっていなかったが、橋が架かる場所の上流にある砂防ダム直下に梯子を渡した簡易型の仮設橋があったが、大雨で増水すれば簡単に流されてしまうような場所であった。あれから県西部では何度も雨が降っており、今でも生き残っているか疑わしい。それどころか計画の前日にも雨が降ったので沢がいつもよりさらに増水しているのは確実であろう。

 今回は渡渉のリスクがかなり高いと判断して渡渉専用に長靴を持っていくことにした。砂防ダム直下なら仮設橋が無くても場所を選べば長靴で渡れるだろう。最悪、長靴で水没しても裸足で長靴を履いていれば靴下を濡らすこともなく、対岸で登山靴と靴下を履けばいい。

 金曜日の夜早い時刻に扇沢の市営無料第一駐車場に到着したが、過去に見たことがないくらいに駐車している車が少ない! 台数は10台前後しかなくガラガラだった。駐車場の空きとは無関係だろうが、今まで駐車場の東側にあった立木が全て伐採されていた。この木は日差しを遮って日中に車の中が高温になるのを防いでくれるありがたい存在だったのだが残念。いつものように扇沢駅に最も近い一番奥の区画に駐車して酒を飲んで寝た。夜中まで雨が断続的に降って車の屋根を叩く音がしていたが、日付が変わる頃には雨音がしなくなった。

 今回は早く天気が回復する確率が高そうなので、先週より早めに起きて午前2時過ぎに出発。幸いにして頭上は雲が多いもの隙間から星が見えていて雨の心配はなさそうなので、今回は傘は置いていくことにする。軽量化のため雨具は防水性能が劣化した山用のゴア。稜線での強風対策も兼ねる。太平洋高気圧からの風が入るので気温はかなり高めのはずで(標高3000mの予想気温は+10℃だった)、防寒着は長袖フリースと薄手のウィンドブレーカとした。

 残雪装備をどうずるかは悩んだ。この時期は残雪期と夏山シーズンの端境期で登山者数が少なく、ネットでの情報も限定的だ。一番信用できるのは針ノ木小屋のHPだが、情報は数年前から全く更新されていなかった。ネットやSNSで直近の記録を探したが見つかったのは1件だけだったが、写真や文字情報が少なすぎる記録で針ノ木峠〜針ノ木岳間の残雪状況が全く分からなかった。2週間前の記録は複数あったが、今の時期の2週間は雪解けが大幅に進んでいるはずで参考にならない。結局はリスクを優先して10本爪アイゼンに軽ピッケルを持つことにしたが、幸いにして結果的にはこれが正解だった。

 出発時も駐車場はガラガラのままで、夜中に上がってくる車はほとんどいなかった。気温も湿度も高くて最初から半袖半ズボンで寒さは全く感じない。扇沢では風は全く感じられないが稜線ではどうだろうか。扇沢駅横のゲートから登山道に入ると、前回まではみ出していた草はきれいに刈り払われていた。シーズン前に整備の手が入ったようで一安心。3週間前に扇沢駅の裏手で車道脇の崖の落石防止工事を夜中もやっていたが、今回も同じ個所の工事が夜中も続いていた。ただし前回よりも足場が大幅に小さくなっていて、工事がだいぶ進んだようだ。

 舗装された車道に出てショートカットする登山道に入ると沢の流れで大きくえぐられていた。3週間前には無かった光景であり、あれから大雨が降ったらしい。となると堰堤下流の仮設橋が流されている可能性が高い。今回は長靴を履いて登山靴はザックに括り付けているが、これが役立つかもしれない。

 次に車道に出て車道反対側の登山道を無視して左の車道を進んで工事現場で左の林道へ入る。今年は大沢小屋の営業が無いこともあって林道は例年よりも荒れていて、草のはみ出しも酷い。しかし林道終点から荷上げ道に入ると最近草を軽く刈った形跡が見られた。針ノ木小屋の営業は既に始まっているので、小屋の関係者が通行ついでに整備したのかもしれない。最初の砂防ダムを越える梯子はしっかりとかかったまま。問題はその先の橋だが、昨年は同じ時期にまだかかっていなかったのが今回はかかっていて大助かり。予想通り篭川は増水して橋が無いと渡るのは無理、というか危険なレベルであった。今まで見た中で一番水量が多かったと思う。おそらく上流の堰堤下部でも長靴が水没するだろう。

 長靴はここでお役御免なのでデポ。雨が降って中に入らないよう上から袋をかぶせておく。この先もはみ出した草の一部は刈られていたが、登山道が近くなって両側から笹がはみ出した区間はさすがに刈られてはおらず、雨で濡れた笹を手で分けながら進んだが、Tシャツの肩や袖の部分が大いに濡れてしまった。ここさえ整備すればずっといい道になるのだが。

 笹を抜けると夏道に合流。こちらも草を刈った形跡があり、扇沢周辺だけでなくここまで整備の手が入ったらしい。でも大沢小屋は今年の営業はなく扉は閉まったままだった。

 登山道を進んで篭川沿いに出ると水音が大きくなり、水量が増していることがわかる。今の時期はどこで雪渓に乗るのかは残雪状況によるので、とにかく雪が出てくるまでは夏道を行くしかない。眼下には一時的に雪が現れるが崖状のため雪渓に降りることはできず、そのまま夏道を進んでいつもの沢の支流が流れ込む箇所で篭川の河原に降り立った。3週間前はここから雪に乗ったが今は全く雪は無いのでしばし河原歩き。無雪期にかかる橋への分岐点で雪が現れたのでここでアイゼンを装着しようとザックを下ろしたら雨が降ってきて、徐々に強くなって雨具が無いと濡れるほどになったためゴアの上下を久しぶりに着用。こんな天気になるのだったら傘を持ってくればよかったと後悔。足元はロングスパッツに10本爪アイゼンだ。

 雨の中を傘無しで雨具を着用して登るのは久しぶりである。私の場合、非常に汗をかきやすい体質なので、この状況で普通のペースで歩くと自分の汗でびしょ濡れになってしまうため、かなりペースを落として雪渓を上がっていく。雪があるので吹き降りる風が冷たいので雪が無い場所よりは汗は少なくて済みそうだが、全く汗をかかないとはいかない。予報では天気は回復傾向のはずだが、いつまで雨が続くのか短期的なことは分からない。せめて予報通りに回復して欲しいものだ。

 どれくらい雨が降っていたのは具体的には不明だが、おそらく30分程度だったと思う。徐々に弱まってきたが時々ぶり返すことがあり、アイゼンを装着しているのでズボンを着たり脱いだりするのが非常に面倒なので、雨が止んだと確信できるまで着たままで歩いた。雨が落ちてこない時間がある程度続いたのでゴアを脱いだら、その後は雨が降ることはなかった。さすがにゴアを脱ぐと快適な温度になって足もはかどるようになった。

 雪渓を上がっている途中で周囲が明るくなったが、想定通り稜線はガスがかかっていることが判明。振り返ると爺ヶ岳山頂が雲の底ぎりぎりで見えるか見えないかくらいなので、雲の底=ガスに突入するのは標高2700m付近らしい。しかし針ノ木岳周辺の方が雲の底が低いようで、標高約2500mの針ノ木峠より100mくらい下でガスがかかるようになった。

 今回はマヤクボ沢を利用できるか残雪状況が不安であり、往路は針ノ木峠に登って稜線からマヤクボ沢の残雪状況を確認してから判断することにした。結果を先に書くとマヤクボ沢の残雪は既に途切れていて利用不可だった。まあ、これだけ季節が進めば仕方なかろう。

 マヤクボ沢出合とほぼ同じ高さで蓮華沢出合があるが、ここで右岸側の夏道が登場して目印も見かけたが、まだ雪が続いていてアイゼンを脱ぐのが面倒なのでそのまま雪渓を上がり、標高2280m付近で雪が切れて地面が出た場所でアイゼンを脱いで夏道に乗った。この先にアイゼンが必要な場所がまだあるのか不明だが、見える範囲では夏道が続いている。結果的にはこのまま針ノ木峠までアイゼンが不要な状況で、2箇所ほど短い雪渓を横断する箇所があったが、しっかりと雪切されていた。さすが小屋が開いた後は便利である。

 赤くザレた斜面をジグザグに登る区間も雪は残っておらず、素直に夏道を登ればよかった。谷筋にはまだ雪が残っているので3週間前のようにその上を歩くことも可能ではあるが、夏道の方が滑落の心配がないし、そもそも歩きやすくて体力の消耗が少なくて済む。

 標高2450mを越えるとガスに突入。予報通りに天気が回復してこれが晴れればいいが、湿った南西の風が入っているので可能性はそれほど高くないかな。雨さえ降らなければいい。峠が近付くとチングルマを中心とした花が出迎えてくれた。

 登り切って針ノ木峠に到着。小屋は開いているが周囲は無人。小屋の裏にももう雪は残っていない。峠では西寄りの風が山にブロックされて本当の風の強さが不明であるが、とりあえず蓮華岳に向かうことにした。蓮華岳側に少し登ったところに残雪装備等、当面使用しない装備をデポして荷物を軽くしてから登り始める。空身にならないのは稜線で強風が予想され、それなりの防寒装備が必要と判断したからだ。おまけに雨が降らないとも限らないし。

 当然ながら蓮華岳への登山道には雪は全く残っていない。峠から針ノ木岳へのルートと違ってこちらのコースはコマクサ以外の花が少なく、2754m峰東側小鞍部以外ではお花畑は見られない。登山道脇で見られた花はミヤマキンバイ、ミヤマダイコンソウ、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、ベニバナイチゴ、ミツバオウレン、ツマトリソウ、クロマメノキ、コケモモ、ハクサンシャクナゲ、キバナシャクナゲ、オオヒョウタンボク、ナナカマド等だ。

 標高2650m付近でハイマツ帯を抜けて石が積み重なった開けた斜面に入ると風が強まったが予想よりは弱く、体を風上側に傾けたりよろめくようなことはなかった。ただしそれなりに風は強く体感的に寒いので、強風帯に入る前に防寒装備としてゴアの上下を着用した。今回は手袋は軍手で風を通してしまうが、気温が高めだったのでこれで十分だった。

 2754m峰の登りでコマクサが見られるようになり、ちょうど見頃の状況であった。蓮華岳のコマクサは密度が低くてぱっと見では石だらけでコマクサが生えているのか分からないが、よ〜く見ると広範囲に渡ってまんべんなく生えている。面積がべらぼうなのでおそらく総数は1000を越えるのではなかろうか。私が知る限りではこれだけ広範囲にコマクサが生えている場所は他には無い。ただし、低密度なので見た目の派手さが無いのが残念だ。

 2754m峰を越えて小鞍部に出るとチングルマを中心とするお花畑が登場。ミネズオウがまだ咲き残っていたがほぼおしまいの状況。3週間前がピークだったからなぁ。お花畑を通過して再び砂礫の広がる平坦地に出るとコマクサ群生地の中心部。相変わらず低密度なのでコマクサは目立たないが、あっちにもこっちにも花を付けている。次の2750m峰を越えるとハイマツが出てきてコマクサは消え、蓮華岳直下まで見られなくなる。

 鞍部から大沢を見下ろすと雪はかなり後退していた。相変わらずのすごい傾斜で雪壁になる部分は傾斜がきつすぎて見えない。登山道にはミヤマダイコンソウ等の花が咲いていた。蓮華岳への最後の登りでコマクサが復活すると共にクモマスミレやイワベンケイ、イワツメクサ、タカネツメクサが登場。ここで見られるはずのタカネシオガマはまだ芽が出ていなかった。

 祠のある蓮華岳西の肩に到着。残念ながらガスの中で展望は無いが、時々ガスが薄まる瞬間があって蓮華岳東尾根から下界が見通せることもあった。このくらいの濃さのガスなら雨の心配はなさそうだ。三角点と山頂標識がある東の肩に移動して風を避けながら小休止。風は強いが気温は高く、防寒装備は風除けの上下のゴアだけであるがそれほど寒さは感じなくて済んだ。風が強くて着替えるのも面倒なので(ゴアを一度脱ぐ必要がある)、ネックウォーマーだけ追加した。

 針ノ木岳方向はずっとガスのままで稜線は見えなかったが、南側の北葛岳へ下る尾根は時々ガスから出てきて、どうも雲の底の高さが少しずつ上がってきているようだ。もしかしたら時間が経過すればガスが完全に取れる可能性もあるが、この調子ではそれまでにまだ数時間はかかるだろう。

 小休止を終えて針ノ木岳に向かう。ここから山頂まで2時間近くかかるので、もしかしたら針ノ木岳到着時にガスが切れるかもと期待する。2754m峰を越えて下っていくとガスの層を抜け、往路よりも雲が少し高くなっているのは間違いない。見える範囲の稜線には他に人の姿はない。砂礫帯を通過すれば風が弱まり針ノ木峠へと高度を落としていく。峠の手前でデポした荷物をザックに詰めて、ゴアの上下は脱いで半袖半ズボンに変身。地形的な理由で風はほとんど無くなって防寒装備は不要になった。それに針ノ木岳への登りは稜線で西風がずっとブロックされるので、風を受ける心配はない。それに登りに変わるので体の発熱量が増えるので放熱対策をした方がいい。

 針ノ木峠は無人のままで、雪渓方面を見下ろしても人の姿はなかった。今日の登山者がゼロということは無いだろうが、あの駐車場の車の少なさからすれば、通常の週末よりはかなり少ないだろう。通常は周囲が明るくなってライトが不要になってから出発するはずなので、私との時間差は2時間半くらいあるだろう。

 僅かに上がった場所にあるテント場はほぼ雪は無くなっていた。今はテントは皆無だが今日はここで幕営する人がいるだろう。さらに上部のテント場は3週間前は広く雪が残っていたが、今はほぼ雪が消えて夏道が完全に出ていた。チングルマを中心とした花がまさに花盛りだった。

 標高2640m付近で登山道は尾根直上から北斜面のトラバースに入るが、この辺りからガスに突入して先の残雪の様子が全く見えなかった。トラバース入口付近は雪は全く無く、もしかしたらこの分ならずっと雪は無いのかもしれない。さすがにこの時期は3週間も経過すると大量の雪が消えていて、カールの底は完全に無雪状態。マヤクボ沢の雪ももう途切れていて、帰りはマヤクボ沢を下ることはできないので往路を戻るしかなさそうだ。カールへ続く斜面にはシナノキンバイの蕾がたくさん見えていた。ここはお花畑になる場所だが、今年の花の出来はどうなるだろうか。2021年は素晴らしいお花畑で感動したが、その後の2年間は花の数が大幅に少ないままだった。

 このまま夏道が続くのかと思いきや、標高2730m付近で夏道が雪の下に潜っている。雪の傾斜は急で固く締まっているため、ノーアイゼンでの通過は不可能だった。残雪は高さ方向は10m程度で狭いが横に長い帯状であり、左から迂回して雪の上側の無雪地帯を歩けばアイゼン無しでも行けるかもしれないが、上は岩場であり安全に通過できるか自信がないので素直にアイゼンを装着してピッケルを手に持つ。雪に乗ると針ノ木雪渓の雪質とは違って場所によっては氷に近いカチカチの固さで、アイゼンの爪の先端しかかからない状況だ。しかも傾斜がきつくて滑れば止まらない場所なので、真面目にピッケルも使って登っていく。ガスで先が見えないし夏道が隠れているのでルートが分かりにくいが、おそらく斜め右上だろうと見当をつけて上がっていき、露出した岩に目印を発見。ここでアイゼンを脱いでもいいがまだすぐ先には雪が残っていて、夏道はこれを迂回しているのか判断がつかなかったこともあり、まだ雪が続いているのでこの岩の基部を巻くように進むと稜線直下に到着。トラバース区間はここまでで雪が消えるのでアイゼンを脱いだ。この先には山頂まで登山道上に雪が残る場所は無いので、ここでアイゼンとピッケルをデポした。

 残雪期に雪壁ができる個所にはまだ雪が残っているが、夏道はその左側に完全に出ているので雪を踏む場面はなかった。ここまで来れば山頂直下。岩が積み重なった地形が終わると高山植物が登場。小さくて目立たないがミヤマクワガタが咲き始めていた。イワオウギは葉っぱは出ているが蕾はまだで、花はもう少し先かな。同じように花はまだ先だがミネウスユキソウが姿を現していた。ここのハイマツの陰にはマイヅルソウが生えているが、まだ蕾の状態だった。私が見たことがあるマイヅルソウではここが最も高い場所である。通常、マイヅルソウは樹林帯に生えているので、森林限界でマイヅルソウを見かけることは滅多にない。

 最後の一登りで無人の針ノ木岳山頂に到着。残念ながらガスは晴れず周囲は真っ白のままで風も強いが雨は降っていない。山頂には岩があって風を避けられるので、今回は防寒着を着て上下のゴアも着用。休んでいても寒さを感じることはなかった。

 ガスで展望写真は撮影できないが花の写真撮影は問題なし。針ノ木岳山頂は花が多い場所である。まだ開花のピークの時期ではないがそれなりに咲いている。一番目立つ存在はミヤマオダマキ。花が大きい。数が多いのはミヤマキンバイだが、そろそろ終盤だろう。ハクサンイチゲは一株だけ花が咲いていた。強風に大きく揺れるチシマアマナはもうおしまいだ。蕾のイワオウギを見かけたが、花を付けた背が低い個体があったと思ったら、意外にもシロウマオウギであった。私が登る北アの山で白馬岳以外で初めて見た。シロウマオウギは白馬岳の固有種というわけではないので他で見かけても不思議ではないが、いかんせん数が少ないので多数派のイワオウギが開花してしまうと埋もれて発見が難しくなる。まだイワオウギが咲いていない今の時期が発見の大きなチャンスだろう。山頂の岩の北側ではミヤマシオガマ、イワウメ、シコタンソウが咲いていた。

 まさかのシロウマオウギ発見で今回は想定以上の収穫となった。来年以降もこれが針ノ木岳登山のいい目的になりそうだ。

 30分弱の休憩で下山開始。他に登山者が上がってくることはなくずっと無人でずっとガスの中だった。しかし下り始めてすぐに登山道が稜線西側直下に移った区間でトレランと思われる軽装の4人組が上がってきた。どう見てもピッケルや本格的なアイゼンを持っているようには見えず、あの残雪帯は迂回したとしか思えなかった。実際に現場に行くと雪の上には私の足跡しかなく、雪の上側の縁や下の夏道入口からまっすぐ登るように踏まれた砂や石の乱れがあったので迂回したのは間違いない。残雪の上側は岩との隙間が開いてシュルントになっていたが、見た感じではかなり歩きにくそうに見えた。私は下りも素直にアイゼン、ピッケルを出して最短距離をバックで下った。

 夏道に乗り直してアイゼン等を仕舞ってトラバースの夏道を下っていくと、鍬などの道具を持った長靴姿の4,5人の男性陣が上がってきた。針ノ木小屋のスタッフに間違いなく、登山道整備をやりにきたのだろう。持っていた道具からしてあの危険な残雪帯の雪切も行うと思われ、これから山頂へと向かう登山者は安全に通行できるようになるだろう。ちなみにスタッフには外国人が2人ほどいて、今の時代は小さな山小屋ではスタッフの雇用に苦労しているようだった。

 針ノ木峠まで戻ってもやっぱり無人のままで、これから下る雪渓方面にも相変わらず人の姿は見えない。花の写真を撮影しながらジグザグに下って沢沿いに降りていき、蓮華沢出合手前で少しの残雪を踏んで、大岩の先で雪渓に乗った。ここでやっと登りの登山者の姿を確認。2人組が2組、少し距離を置いて歩いていた。先頭の2人はストック代わりに枯れ枝を突いていて、後の2人はノーアイゼンだった。この時期の雪の表面は小さなスプーンカット状なので足を置く場所を選べば登りならアイゼン無しで登れないことはないが、歩行スピードは確実に落ちるだろう。特に今日は日差しがないので雪がほとんど緩んでおらず、いつもの下りでは雪が足への衝撃を吸収してくれるが、今回はモロに衝撃がかかって雪の上を歩くメリットが感じられなかったし、いつもの下りよりも疲れた。雪渓の下部ではさらに2人が上がっていった。

 雪渓の下部では左岸側に花を探しなら歩いたが、シラネアオイはもう完全に終わったようで発見できなかった。その代わりに今はニッコウキスゲが花盛りだった。岩場には稜線で見られるミヤマダイコンソウやツガザクラが咲いていた。

 雪渓から河原の夏道に入り、左岸の高巻道に入ると花が増える。今年初のタテヤマウツボグサや、ここで多く見られるオオバギボウシは咲き初めだった。小さくて目立たないがオオコメツツジの白い花も見かけた。カラマツソウやミヤマカラマツはまだ雪渓沿いでは咲いておらず、ここより低い場所で見られた。ニッコウキスゲが登山道近くに咲いている場所ではデジカメを向けている男性がいた。2人組らしくザックを置いて休憩中らしい。それとは別に男性2人組が上がってきて、これが今日すれ違った全員で合計10人しかいなかった。

 今日は稜線でガスっているので下界でも雲が出て日差しが無く、標高が下がってもさほど気温が上がらずに大汗をかかされることはなかった。ただし全く汗をかかなかったわけではない。大沢小屋を通過して登山道を離れて荷上げ道へ入る。陽ざしが無い影響か、道にはみ出した笹の葉はまだ濡れていたが、当然ながら往路ほどには濡れずに済んだ。笹のはみ出し地帯を抜ければ登山道並みに道は良好となる。

 橋を渡る前に長靴を回収。結構な重さであり適当にザックに括り付けたのではずり落ちてしまうため真面目にパッキングしたが、それでもザックからはみ出す。これなら往路のように長靴を履いて登山靴をザックに入れた方が良かったかもしれないが、長靴は暑いのが難点だ。

 大沢小屋作業道では予想外の花が色々見られるのが特徴だ。通常はアルプスの稜線でしか見られない高山植物がこんな場所にあるのだから異常とも言えるが、おそらく靴底に付着した高山植物の種がここまで運ばれて落ちたのだろう。今回見たものや過去に見た高山植物では以下のようなものがある。稜線に行かずともこれだけ見ることができる場所は他では見たことが無い。

・チングルマ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマクワガタ、ハクサンフウロ、ツマトリソウ、オトギリソウ

 他には標高に相応の植物としてカラマツソウ、ミヤマカラマツ、ミヤマタネツケソウ、ニリンソウ、サンカヨウ、キヌガサソウ、エンレイソウ、オオバミゾホウズキ、キジムシロ、ズダヤクシュ、ベニバナイチヤクソウ、スミレ類、ノビネチドリが見られる。今はニリンソウ等の時期は終わっているので見られないが、時期に応じた花が次々に咲いていくので季節が変わっても楽しめるだろう。

 堰堤の梯子を下りて林道終点から荒れた林道を歩き、篭川にかかる橋の近辺ではベニバナイチヤクソウが花盛りだった。約1ヵ月半前に既に多くの蕾が出ていて一部の花が開花していたが、それから考えるとずいぶん長い間楽しめるようだ。

 舗装された林道に出ると花はぐっと少なくなる。3週間前のミヤマキンポウゲが影も形も無くなっていることから、どうやら林道脇は草刈りが行われたようだ。車道から登山道に入って今年に新しくできた沢を遡って本流で水浴びして汗を洗い流した。まだ水が流れていたが、例年だと真夏になると本流の水は涸れてしまう。

 扇沢駅に出ると大型観光バスが数台止まっていてツアー客が多いようである。逆にマイカー用の有料駐車場は最上段のみが埋まっているが、他はガラガラであった。まあ、今は梅雨の時期だからなぁ。夏休みが始まるとこの駐車場が満車になって、マイカーはずっと下にある雷鳥駐車場に誘導されてシャトルバスで扇沢まで上がるようになる。無料駐車場は早朝にはもう満車で入れなくなる。

 その無料駐車場に戻ると、驚いたことにまだ全容量の1/4くらいが空いたままで、今まで見たことがないくらい空きがあった。普通の土曜日のこの時間帯は当然のように満車になっているのだが。着替えて車に乗って下って柏原新道近くの駐車場を見ると、こちらも満車ではなく空きがあったが8,9割が埋まっていて、針ノ木岳よりもずっと多い人が山に入っているようだ。おそらく柏原新道の残雪はもう消えて安全に通行できるようになっているだろう。なお、種池山荘と冷池山荘は既に今年の営業を始めている。

 さらに車で下って大町市街地付近まで来ると、私が登った時はガスっていた蓮華岳山頂がきれいに見えていた。爺ヶ岳も雲の下だったが鹿島槍はまだ雲の中。残念ながら下界からでは針ノ木岳は手前の山々に隠れて見ることはできないので、針ノ木岳のガスが晴れているのかは分からなかった。

 

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